EU離脱案 議会否決の方向へ
メイ英首相が欧州連合(EU)と結んだ離脱合意案を英議会が否決した場合、首相は内閣不信任案を突きつけられる恐れがある。
労働党のEU離脱問題担当スポークスマンを務めるキア・スターマー議員は2日、スカイニューズに対し、広く予想されている通りにメイ首相の離脱合意案が否決された場合、労働党による不信任案の提出は「不可避」だと述べた。不信任案が可決された場合、英国は再び総選挙に向かうことになる。不信任案が可決されるには、保守党や協力政党の一部議員が同案への支持に回る必要がある。
英議会は今週、メイ首相の離脱合意案を巡る協議を始める。最終的な採決は11日。首相にとって見通しは厳しい。野党は全て否決を表明。さらに、保守党を閣外協力で支えている北アイルランドの民主統一党(DUP)のほか、与党保守党内でも約100人程度が合意案に反対している。
米中協議、一旦は引き分け。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は1日、両国が持続的な合意で交渉を行う中で、新たな関税を一時的に見送ると約束し、貿易戦争を激化させないことで合意した。
米中間の貿易戦争の停止はアルゼンチンでの20カ国・地域(G20)首脳会合後の夕食会で決まった。中国の王毅外相はブエノスアイレスで記者団に対し、両首脳が新たな関税適用の見送りと貿易交渉強化で合意したと語った。
ホワイトハウスは首脳会談が「大成功」だったとし、米国が中国製品2000億ドル(約22兆7140億円)相当への関税率を10%で据え置き、来年1月1日から予定されていた25%への引き上げを先送りすると発表した。米国はトランプ政権が不満を持っている知的財産権侵害や非関税障壁など中国の貿易慣行に関して協議を直ちに開始することを望んでいる。
ホワイトハウスのサンダース報道官は声明で、構造改革に関して90日後に進展がなければ、米国が関税率を25%に引き上げると述べた。同報道官によると、中国は米国との貿易不均衡を縮小させるため農産品や工業製品の購入を拡大することにも同意した。
トランプ大統領は首脳会談について「素晴らしく生産的な会合で、米国と中国の双方に無限の可能性をもたらす」との声明を発表した。
今回の首脳会談の結果は両国間の根本的な意見の相違を解消しないが、米中ともに勝利をある程度宣言できるものだ。中国は米国からの追加関税の先送りを勝ち取る一方、米国は中国経済のより構造的な変化に向けた圧力で影響力を維持しながら、中国による農産品の購入拡大を取り付けた。
ブルームバーグ・エコノミクスのトム・オーリック氏は中国がどこかから大豆や工業製品を購入する必要があり、購入先を他から変更するだけと想定すれば、中国の輸入代金が増えるわけではないと指摘した
米中会談がどちらの結果になってもドルにはリスク!
12月1日のトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談に世界の為替市場が注目しており、一部アナリストは貿易摩擦の緩和に向けたわずかな進展でも、ドルが下落するのに十分だとみている。
トランプ氏が中国からの輸入品に対する関税を来年1月に引き上げる計画を見送る兆しがあれば、新興国通貨や資源関連通貨に対する圧力が緩和され、ドルのほか円などの安全通貨が弱含む可能性がある。
ナットウェスト・マーケッツのストラテジスト、ジム・マコーミック氏は「今年これまでずっと懸念材料の一つだったのが、保護主義の影響だ」と指摘。「成長センチメントが打撃を受けると、ドルは特に新興国通貨や成長関連通貨に対して上昇する傾向がある。米中首脳会談で少しでも進展が見られれば、恐らくドルにネガティブだろう」と述べた。
一方、インサイト・インベストメントの為替・ポートフォリオ運用責任者、ポール・ランバート氏によれば、会談が決裂したらドルが押し上げられると想定するのも安全ではない。緊張の高まりで恩恵を受ける可能性があるのは円やスイス・フランなどの伝統的な安全通貨だと同氏は指摘した。
トランプ大統領 米中会談を前に『いい兆しが…』とコメント
トランプ米大統領は中国の習近平国家主席との会談を翌12月1日に控え、「いくつか良い兆し」が見られると述べた。
トランプ氏は30日にブエノスアイレスで記者団に米中首脳会談について問われ、「すでに話をした。われわれは一生懸命取り組んでいる」と回答。「取引が成立すれば、それは喜ばしい。中国側はそれを望んでいると思うし、こちらも同じだ。どうなるか見てみよう」と述べた。
中国外務省国際経済局の王小龍局長は同日、米中の話し合いはまだ継続中だと述べ、お互いに共通の認識を深めつつあると付け加えた。「意見が一致する点が次々と増えている一方で、見解の不一致もある」とインタビューで発言。「最終的にどういう結果になるか見守りたい」と述べた。